マンションは地震が来ても大丈夫?

中古マンションで気になることの一つに耐震性があります。今後起きる可能性が高い南海トラフ地震でも大丈夫なのか?とても気になりますね。

まず、よく言われているのが、1981年以後に新耐震基準になったので、それ以降のマンションなら安心という意見です。正確には確認申請の日付が1981年6月以降の物件が新耐震基準になります。

確かに新しい基準であればまずは安心できます。ではそれよりも古いマンションはダメなのでしょうか?

マンションの地震被害は実際にどうなのか?

実際の地震時の被害を調べた資料として、阪神淡路大震災で被害が大きかった神戸市灘区、東灘区のRC建物の被害状況のデータがあります(日本建築学会近畿支部鉄筋コンクリート構造部会: 1995年兵庫県南部地震コンクリート系建物被害調査報告書)。

これによると新耐震基準(1981年以降)の建物1955棟では、小破以下だったのは95.7%、残りの4.3%は中破以上(大破、倒壊を含む)でした。

同様に旧耐震基準(1972年~1981年)の建物1365棟での被害は、小破以下は89.7%、残りの10.3%が中破以上(大破、倒壊を含む)でした。

なお、被害程度の評価は「無被害」「軽微」「小破」「中破」「大破」「倒壊」と分類されています。

小破以下は修繕によりその後も住むことができるという判断ととらえてますが、この辺りの評価には幅もあるようです。より安全を求めるには「軽微」以下の割合がいいのかもしれません。

その割合は新耐震基準は88.1%、旧耐震基準は77.5%。これらの数値は木造住宅よりもかなり高く、あれだけの大地震でしたが、被害を割合だけでドライに判断すると基本的にはRC建物には高い耐震性があるといえます。

ただやはり1981年以前の方が被害が大きいので、できれば1981年以降の建物の方がより安心とはいえますが、この被害結果を見れば、古い建物には耐震性がない、と考えるのは少々偏った見方と言えます。

それに1981年以降であっても6.5%は大破または倒壊しているということを考えると、新耐震基準のマンションだから安心だ、ともいいきれません。

ここで地震被害について考えておきたいこととしては地盤の性状によっても被害の差がでるということです。実際に灘区、東灘区の被害が集中した場所は液状化の危険度が高い地域でもあります。

液状化が懸念される地域では被害も大きくなる傾向にある

そのような地域では地震時の揺れもかなり強くなります。そのため1981年以降であっても被害を完全には免れなかったといえます。別の見方をすれば地盤がよい地域であれば被害を受ける率はもっと少なくなるといえます。

 

ピロティ型の建物は被害率も増加する

建物の構造、形状、階数といった個別の違いによっても被害に差があり、例えばピロティ型の建物だけで被害率をみると、中破以上(大破、倒壊を含む)の被害の割合は新耐震基準では7.2%が、旧耐震基準では25.9%となっています。

これを先ほどと同じ軽微以下の割合で見ると、新耐震基準は79%、旧耐震では57.8%となっています。

ピロティ構造のイメージ図。全てではないが、耐震性に不安がある物件も・・・

特に旧耐震のピロティ型の被害率はそうではない建物と比較するとずいぶんと高くなっていますから、旧耐震でピロティ型の建物は基本的にはあまりオススメできません。

ここではピロティ型だけを事例に挙げてますが、建物の高さが極端に違う形になっていたり、凸凹していたりすれば、被害も生じやすくなります。

 

このように地震被害は様々な要因が関係してきますから簡単に古いからダメ、という判断はちょっと乱暴です。

ではどう考えればいいのかというと、

①地盤の性情(液状化と想定震度)

②新耐震基準か旧耐震基準か

③物件自体の特徴

という3つの要素を踏まえて評価することが大事だと思います。

 

住みたい地域の地盤について確認をする

では地盤の性情はどうやって判断したらいいのでしょうか?名古屋市のハザードマップを調べると南海トラフを想定した際の最大震度が示されています。

南海トラフを想定した最大震度

ここで液状化の可能性を想定した下図と合わせてみると震度が高い地域と符合していることが分かります。

液状化の可能性が高い地域は想定震度が高い地域とほぼ一致していることがわかる

誤解を与えそうなので補足しておきますが、単純に、震度が高い地域はダメ、ということではありません。こういうことが想定されているのが事実なので、それを正しく知るということがまずは大事なのです。

たまたま地盤に不安がある地域が住みたい地域だったり、地元であったりした場合、現状を正しく認識し、リスクに対してできる限りの対策をすることが重要だと思いますね。

 

旧耐震物件は悪い地盤を避けて検討する

先に示した液状化の可能性が高い地域で暮らす場合、地震被害の結果を踏まえれば基本的には1981年以降の物件を選ぶ方が良いでしょう。

どうしても1981年以降の案件では予算が成り立たない、希望の物件がない、などで1981年以前の物件を選ぶ場合はピロティ構造の建物は避けましょう。倒壊するリスクがかなり高いと想定されるからです。

液状化の可能性が低い地域であれば1981年以降の物件をベースにチェックしつつ、予算や条件が合わなければ1981年以前の物件も視野に入れて検討すれば良いと思います。

新しい物件だとより安心ではありますが、良い条件の場合はやはり高めになりますし、競争も激しいので、そういう良い物件は情報が出ると比較的短期間で売れてしまいます。

それに比べて1981年以前の案件は築年数も古くなるので多くの方が敬遠し勝ちですが、その分、良い条件のものがあったりしますし、価格も低めなのでそういう意味では狙い目と言えます。

地盤が良好であれば大破・倒壊の被害も少なくなるので、いたずらに不安になる必要はないと思います。

なお地盤が良い地域であっても1981年以前のピロティ構造の物件を選ぶ場合は慎重さが必要です。耐震診断をしている、低層建築物である、といった感じで個別の物件状況を踏まえて選択することが重要になります。

まとめ

マンションの耐震性を実際の被害状況をもとに検討してみました。地震に対してどう考え判断するのかは難しく、絶対に大丈夫ということはどんな建物であっても言い切れません。

ここまでの内容を読んでも、具体的に実際に気になる物件が大丈夫なのかどうか、自信をもって判断まではなかなかできないと思います。

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