昭和区八事 F邸マンションリノベーション
2019年10月竣工
物件概要/1984年築/84㎡

 

比較的広めのマンションです。エアコンのための配管の穴は一つだけなので、住まいが仕切られ過ぎると温度差が大きくなったり、冷暖房が効かないスペースが出てきやすくなります。

そのため全ての引き戸を開放すると全体が一つの空間になるような計画として、可能な限り空気が循環するようにしました。

リビングと小上がり寝室を低い収納で仕切り、寝室の布団収納の下は子供室へと抜けるように引き戸を設け、通風性を確保。風が抜けやすいということは冷暖房も効きやすいわけです。

子供室は廊下に面して可能な限りのコンパクトな計画としました。少しだけ高めのベッドにして収納も確保しつつ、個室利用ができる工夫もしてます。

子供室の在り方は人によって考え方に幅があります。今回のように可能な限り小さく計画する方法は、そこで長時間過ごす点では決して居住性がいいとはいえません。

でも子供室で過ごす時期、時間を考えると、一般的な大きさの部屋を計画することがベストな計画とは言えない側面もあります。将来的には無駄なスペースにもなるわけですし・・。

家族との関係性や子育ての考え方なども踏まえて、こうした手法が良いかどうかは、その人によりますが、マンションでの暮らしの上手な計画の一つだと思いますね。

 

ダイニングから見たリビング。正面は造作のTVボード。飾り棚だけとしてすっきりとした印象に。

リビングの横は小上がりタタミスペース。寝室兼用。しばらくはオープンな使い方。将来は建具を入れたら個室としても使える。

キッチン奥は洗面脱衣へと抜け、さらに廊下に出ることができる。空気の循環がよくなるので温度差も生じにくい。

ダイニングの壁側は多目的カウンター。

リビングから見た北側。遮る壁がないので非常に開放感が高い。また玄関へと抜ける廊下の両側に居室やWCLOがあって無駄な空間になっていない。

小上がりにはゆるい目隠しを兼用した収納棚。通路挟んで反対側には可動棚。生活の細かな備品が余裕をもって収納できる。扉ナシにして使いやすく。

キッチン背面はご要望を踏まえて自由に計画。その人の使い方でいろんなパターンになります。扉と引出の面材はシナ共芯。軽やかな印象。

小上がりには押し入れ収納。布団の出し入れを考えた3枚引違タイプ。押入の下は通風を踏まえて、北へと抜ける通風戸がある。

非常にコンパクトに計画した二つの子供室。少し高めにして、下部は収納スペースも兼ねる。真ん中には建具が隠されていて閉じると仕切ることができる。

子供室を北側から。一番奥は小上がりへと抜ける通風戸が机の下にある。

広い玄関土間スペース。ちょっと変わったタテナガの黒いタイル。大容量の収納スペース。

洗面脱衣にはスロップシンク。写真奥はキッチンへとつながる動線。炭化コルクの床で冬も暖かい。