マンションが寒い理由を知っていますか?

マンションって冬は暖かいという話をよく聞きますが、実は寒いということ知っていますか?

「え?周りの知人はマンションだから暖かいってよく言ってるけど?」という方がいるかもしれませんね。でも実際に暮らしている方に伺うと、快適とは言えない環境で暮らしている方も多いんです。

以下、実際のマンションの冬の状態がどんなものなのか?解説していきます。

 

玄関ドアの断熱性能が悪い

マンションは木造住宅と比べれば気密性も高く、また多くの場合、周囲は住戸に囲まれているので、LDK空間はなかなか暖かいです(角部屋、最上階等はちょっと条件が違いますがそれでも暖かい)。

それに比較的新しいマンションだと、床暖房もあるので快適だと思います。ただ、床暖房があっても廊下に出ると、ものすごく寒い・・・。

その理由の一つが玄関ドアの断熱性能がかなり低いから。古いマンションだとスチール製なので、触ればものすごく冷たいのがわかります。また比較的築浅のマンションでも性能はそんなに高くありません。

玄関ドアの断熱性能が悪いために、玄関とつながる廊下は、玄関からの冷気でかなり寒くなるのです。

当然ですが、寒い廊下に面する洗面脱衣室やトイレも同じように寒くなりますし、北側に個室があればこちらもかなり寒くなる。

不思議と寒い、わけではなくて、寒くなるべくして寒いという、当たり前の環境なんです。

青色の廊下部分に面する北の洋室、洗面脱衣、UB、トイレはLDKとドアで区切られているのでかなり寒くなる・・

住まいの基本的な断熱性能も低い

多くのマンションでは壁にウレタン断熱材が吹付けてあるのですが、この厚みがかなり薄い。

過去、多くのマンションを解体して状況を確認してきましたが、10~20ミリ程度くらいなんですね。

写真ではわかりにくいですけどこの物件では15ミリ程度でした。薄いと10ミリ程度の場合も。

この程度の厚みでは温熱的に、快適に暮らすことはなかなか難しい・・・。

またこうした断熱材の上に壁をつくる際には、GL工法という方法で壁を貼り付ける場合が多いのですが、断熱材が薄すぎるために、壁の結露の原因にもなったりします。

リンク:「GL工法のデメリットは結露と騒音」

 

さらに言えば、マンションの場合、基本的に窓はアルミサッシのシングルガラスか、比較的新しければ、ペアガラスという仕様。

断熱性能としては非常に悪く、これでは冬、サッシ枠や窓ガラス面は必ず結露してしまいます。

いくら周りが住戸に囲まれていても、基本的な断熱性能自体が低いので、家の中に温度差が生じてしまうのも当たり前といえます。

 

空気の流れを止める間取り

すでにお伝えしたように、玄関とつながっているから廊下が寒いわけですが、もう一つ別の視点で見ると、間取りが関係してきます。

基本的にマンションの間取りは冒頭の間取りのように、各部屋が区画されており、かつ、廊下とリビングの間には必ずと言っていいほど、ドアが設置されています。

今の一般的な住まいって、区画することが当たり前のように計画してますが、この方式ではリビングのエアコンだけ暖房運転しても、区画されているので北側の洋室は暖かくなりません。

なので、各部屋で暖房しない限り寒いままなんですね。

仮に各部屋で暖房をしたとしても、廊下とそれに面するトイレ、洗面脱衣室と浴室は区画されているため、やはり寒いままなんです。

こうした温度差ってたぶん、多くの方が冬は仕方がないと思っているかもしれませんが、家の中に大きな温度差があるのは仕方がないことではありません。

 

寒さを解決する方法の基本

模様替えをするようなリフォーム程度では、残念ながらこの問題を解決することはまずできません。

根本的な解決方法として大事なのは断熱補強工事です。

断熱材の再吹付けと既存窓に内窓を取り付けるなどして基本的な断熱性能を向上させない限り、寒さをなくすことはできません。

プラン的には玄関と接する部分の寒さの影響をなるべく小さくするための方法として、玄関部分を区画することも効果的です。下は実際のリノベーションの玄関部分の写真。

玄関部分と廊下がつながっているままだと寒い

引き戸で玄関と廊下を区画すれば冷気の侵入をかなり防ぐことができる

玄関部分を区画するように引き戸を設けることで玄関からの冷気をかなり防ぐことができます。リノベーションした実際の住まいにお伺いをすると、玄関部の引き戸を開けたり閉めたりするとヒンヤリ感がずいぶん違うことが体感でわかりました。

ネットや雑誌に掲載されているリノベーションプランの事例を見ると、玄関部分で区画するという考え方はあまり一般的ではないようなので不思議なのですが、玄関を区画しているかどうかで、マンションの温熱環境に対して配慮をしているかどうかがある程度見えてきます。

単純に写真や図面を見ているだけでは暑さ寒さがどうなのかはなかなかわかりにくいです。そのため暮らし始めてから廊下が寒い、温度差がある、ということに気づくことになってしまうのです。そうならないためにもマンションリノベーションをするなら玄関部分は必ず区画して欲しいですね。

 

エアコン1~2台程度で快適にする

寒い環境は、断熱補強と玄関の区画をする断熱性能向上リノベーションをすることで温度差も小さくなります。

古いマンションは1台しか設置できない場合もありますが、断熱補強工事と間取りの工夫をすれば、家の中の温度差はかなり小さくなります。

こちらの住まいは67㎡。エアコン1台だけですが、北側の部屋もそれほど寒くなく、非常に快適。

こうした本質的な対策をしないと、温度差も大きく、かなり不快な環境になってしまいます。

何の対策もしなければ、各個室で暖房せざるを得ないし、しかも壁や窓はずっと冷たいため、熱のロスも大きいわけで・・。暖房にかかる電気代はかなり大きな負担になります。

マンションは暖かい、という表層的な言葉をうのみにせず、ぜひ、根本的な対策をして欲しいです。

 

解説と事例でより具体的な点を知ってください

以上、マンションが寒い理由と、その対策を簡単にまとめました。

より詳しく解説した快適な空間を計画するためのポイントと、施工事例が掲載された「マンションリノベーションの基本がわかるガイドブック」があります。

見た目も大事だけれど、快適な住環境にすることも大事にしたい方にならとても参考になるハズです。

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暮らし始めてから不快な環境に気づいて後悔しないためにも、多くの方に快適なマンションリノベーションの大事なポイントを知って欲しいですし、実例からマンションリノベーションの魅力と可能性を是非知って欲しいです!