多くのマンションが結露に悩んでいます

コンクリートむき出しの「おしゃれなリノベーション」は要注意です

マンションリノベーションで検索すると少なからずコンクリートの壁がそのままむき出しになっている事例が出てきます。都会的な雰囲気で何となくおしゃれ感もあって人気があるようです。

ただしコンクリートの壁が外部に面している計画は要注意です。なぜなら壁に断熱材が全くないので、冷暖房の効きが非常に悪くなってしまい、夏は暑く、冬は寒い住まいになってしまうからです。

コンクリートの壁がむき出しのマンションリノベーションでは、夏暑く、冬寒い住まいになり、健康には暮らせない

例えば冬、暖房で室温が仮に24℃くらいだったとします。かなり暖かい温度ですが、この時壁面の温度が8℃くらいだったとします。すると体感温度は(24+8)÷2=16℃となります。

室温がいくら高くても周囲の壁・天井・床の表面温度が低いとその分体感温度は下がってしまうのです。また冬の場合は寒さに加えて結露でベタベタになってしまい、カビが発生することにもつながります。暮らし方でどうにかなる問題ではなく、根本的に健康で快適に暮らせる環境になっていないのです。

暑さ寒さは図面や写真を見てわかるものではありません。残念ながら暮らし始めてから初めて実感して後悔することになってしまいます・・・。

この暑さ寒さは、マンションに元々暮らしている方なら体感してわかっているので、リノベーション計画の段階で対策を希望すると思いますが、そうでない方は暑さ寒さについてはそれほど気にしてない方が多いようです。

でも一般の方がそこまで思い至らないのは致し方のない所です。やはりそういう点を考慮しない業者側に問題があると思います。

なのでもし、これからリノベーションをする予定でいるのであれば、暑さ寒さに対しての対策をどう計画しているのか?については必ず確認し、間違っても外壁面がコンクリートのままの計画にはしないで欲しい・・・。

繰り返しますが、冷暖房ではどうにもなりませんし、暮らし方でも解決できないということはよくよく理解しておいて欲しいのです。

マンションの基本の断熱性は簡単に比較的ローコストに向上できます

マンションは気密性は高いのですが、実は断熱性能はあまりよくありません。これは中古マンションだから性能が悪い、ということでもないです。というのも新築工事をしているマンションはホームページ等で告知宣伝をしているのですが、断熱材の仕様は昔のマンションと比較しても大きな差が見られないのです。

いずれにしても実際に暮らしていると壁面やサッシは結露が生じます。そして場合によっては壁にはカビが生じます。

表面をきれいに貼り変えても結露がなくなるわけではないので、同じようにカビが生えたりしますし、何より、快適な空間にはなりにくいわけです。

この症状を改善する根本的な対策としては外壁面に断熱材を入れて断熱性能を向上させることがポイントです。

写真はボード上の断熱材の施工著中の様子です。このマンションでは断熱材がもともと入っていませんでしたのでかなり寒かったと思われます(写真の斜めの木材は仮押さえのための木。外壁に接する壁面に貼り付けます)。

断熱材は当然性能が高いものが良く、例えば「フェノバボード」と言われるフェノール樹脂系の断熱材は熱伝導率が0.019W/m・Kと高性能ですのでおすすめです。

断熱材はこの先、より高性能で低価格なものも開発されると思いますので、その時々でベストな商品を選択すればよいです。その他、吹付による断熱補強という方法もありますが、現場の作業体制などにより、何を選択するのかは施工業者により変わってきます。

南北方向に長くて、北面と南面だけが外壁面というよくあるマンションの場合、外壁面積が少ないので断熱補強のかかる費用は意外と少ないです。

なお、角部屋の場合は3面が外壁に面するので面積が増えて工事費がよりかかりますし、屋上の場合は天井面にも断熱材が必要となるためコストは増えます。

ただ全てを解体するリノベーション工事であれば全体の工事費から考えれば数%程度です。後からできない部分ですし、快適さや耐久性にも大きく関わってくるので断熱補強はぜひ実施して欲しい工事です。

中古マンションの窓は性能が悪いので必ず性能補強をしたい

中古マンションの場合、サッシは基本的にアルミサッシでシングルガラス、という場合がほとんどと思われます。この時のサッシ面は、夏はパネルヒーターが放熱しているかのような熱を室内に与えますし、冬はスーパーの冷凍陳列棚の前にいるように冷気が侵入してきます。

ただ、性能が悪いことがわかっていても、サッシを枠ごと交換することは管理規約上まず、許可されることはありません。

なのでサッシの内側にもう一つサッシを付けて二重窓にして断熱性能を高めます。内窓ともいいますが、これは樹脂サッシなので非常に断熱性能が高く、枠部分がアルミのように結露することはまずありません。

上の写真で、室内側の白い部分が内窓です。外側の黒い部分がもともとのアルミサッシの部分。

唯一の難点は開け閉めが面倒になることですが、内窓を開けた時と閉じた時の温度の差はとても大きく、これを体感するとその良さがよくわかります。

ちなみに、防音性能もよくなり、外からの騒音が聞こえにくくなります。交通の便がいいところは、車の騒音なども気になりますから静かに暮らせるのもいいところです。

ハニカムスクリーンでさらに快適にする

サッシ面にはもう一つ、ハニカムスクリーンを設置するのもおすすめです。空気層を持つので断熱効果があります(下の写真は事務所で使っている実物を横から見たところです)。

事務所でも使っていますが、夏は日差しをかなり効果的に遮ってくれるので室温上昇が少なくて冷房の効きもよいですし、冬は曇天時等、窓面からの冷気を感じるような時は冷気を遮断してくれます。

事務所には内窓はなくてシングルガラスのアルミサッシという暑くて寒い窓なのですが、このハニカムスクリーンのおかげで、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせることを実際に体感しているので、これもぜひ、おすすめしたいです。

マンションの場合、窓数は少ないことが多いので、これらの窓面の断熱性能を高める工事費は全体の工事費用からみれば高いという感覚でもなく、設置することによる快適性と冷暖房費の削減効果を考慮すれば、必ずして欲しい工事の一つですね。

断熱補強+つながるプランなら、エアコン一台で過ごせる

マンションは比較的暖かいと言われていますが、それでも北側の部屋は独立しがちで寒かったりします。

窓ガラスは最近のマンションはペアガラスになってきてはいますが、それでも枠部分はアルミの場合がほとんど。そのため窓周りの結露は激しく、べたべたになります。

断熱材の施工と内窓の設置などを行うことで、住まいの断熱性能自体が向上するので、冬はもちろん、夏も快適に過ごしやすくなります。

以前、実際にマンションリノベーションをした現場の見学会を夏に開催しました。70㎡のマンションでしたが、リビングに設置した14畳クラスのエアコン1台で、家の中全体が過ごしやすい温度にすることが可能でした。

快適に感じる温度は人により幅がありますが、見学会に来ていただいた方の感想を伺っても、おおむね快適だというお言葉をいただきましたので、多くの方にとっては大丈夫だと思います。

なお、断熱材の施工と内窓とハニカムスクリーンを設置すればどんな家でもエアコン一台で快適になる、というわけではないので注意が必要です。

個室をドアで仕切って他のスペースと繋がっていないようなプランだと、どうしても空気の流れが個室を経由しなくなるので、エアコン一台で温めたり、涼しくするのは無理がありますね。引き戸で開放的にしやすい計画にしたり、部屋のつながりを考慮することがポイントになります。

上の写真事例はリビングスペースから北の個室へとつながっている部分ですが、途中は引き戸で仕切っているので、開放させるとマンションの中がほぼ一つの部屋のようなつながり方になります。

もちろん個室は廊下からの出入りもできるので、ぐるりと回遊できるプランになっています。

このような計画であれば、引き戸を開放することでエアコンの効きがかなり良くなります。でもこういうつながりがないとやはり北側の個室は個別に冷暖房する必要がでてきます。

中古物件の状況や要望によって必ずできるとは言い切れませんが、つながるようにプランを計画すると、温熱的には非常に良い効果があるのです。あとは扇風機なども併用して、空気をうまく循環させることができれば、より快適に過ごせるでしょう。

マンションリノベーションの場合、実際の現場を見たり、勉強会などを活用して知識を得ることも大事です。

「イベント情報・勉強会」なども参考にしてくださいね。

日時の都合が合わない場合は、可能な限り、個別対応もしています。お気軽にご相談下さい。

なお、オーナーさんに許可を頂ければ工事中の現場を見て頂くことも可能です。

興味のある方は下記フォームに必要事項を入力の上、「工事中現場見学希望」とお問合せ下さい。設計仲田から連絡をさせていただきます。

電話で直接話したい場合、事務所不在のこともありますので090-7024-2554までお気軽にご連絡ください!

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