Nスタイルがつくる小さな家の断熱性能

設計の仲田です。来月のマンションリノベーションの見学会に向け現場はチャクチャクと進んでいます。完成が待ち遠しいこの頃ですが、本日はちょっとマンションリノベーションから離れて、戸建て住宅についてのお話。

私たちの会社のメインのお仕事はマンションのリノベーションなのですが、戸建て住宅も建てます。でも大きな家ではなくて、小さな家、具体的に言うと30坪以下程度の住まいをご提案しています。大きな家はおすすめしてません。その理由はいろいろあるんですけども、話が長くなるので、今回はひとまず置いておいて・・・。

今回のテーマはずばり、戸建て住宅の断熱性能について。かれこれ20年ほど家づくりの仕事に関わってきていますが、断熱に関連するいろいろな工法や、性能、材料などの技術的なことを勉強したり、住み心地や温熱環境の測定などしたりしてちょっぴりマニアックなアプローチをしてきました(苦笑)。

で、実は現在、約80㎡ほどの小さな家を建築中でして、この住まいの断熱性能がなかなか高いわけです。でも断熱性能が高い、と言われてもよくわかりませんよね。

一番簡単なのは数値で示すことです。ネットでいろいろ調べると、ナントカ工法とか外断熱だとか、特殊な断熱材とか、とにかくいろいろ出てきて、まあ、そういった工法や素材も大事なんですけど、それらは目的の断熱性能を実現するための手段であって、外断熱だろうが、グラスウールだろうが、吹付断熱であろうが、それぞれの特徴を理解し、正しく施工することが大事なわけです。

・・・とつい脱線してしまいますね。はい、元に戻って「数値で示す」ことについてお伝えします。

「UA値」という数値があります。これは少しざっくりといいますと、「建物がどれくらい熱を逃がしにくいのかを示す値」だと理解すればよいと思います。ここで熱伝導率だとか、何だかよくわからない単位(W/㎡・Kとか)についてお話するのは省きます(手抜き!)。

とにかく、建物の断熱性能を示す数値があるんだ、ということだけ知っていれば大丈夫です。で、この数値が低ければ低い住まいほど高い断熱性能を持っているということも知っておいてください。

じゃあ、この数値が具体的にどれくらいだったら高い性能・・・、いや、高くすることが目的ではないですね。わかりやすく、快適に暮らすために必要なレベルってどれくらいであればいいのか?と考えた方がいいですね。

まず、断熱性能の基準はH25年に決められた基準があります。H25年基準といって、全国を8つの地域に分け、それぞれ決められた値以下の性能を求められます。ざっくり言うと1、2地域は北海道。東北地方や山間部(長野とか)が3、4地域。その他の大多数が5、6地域。宮崎、鹿児島が7地域で、沖縄が8地域、となってます。

当然、番号が若い方が高い断熱性能を求められます。愛知県はだいたい6地域に属していて、「基準値は0.87」となってます。ただし!この基準でつくれば高性能なわけではないです。といいますか、快適に過ごせるレベルとは言い難い。ではどれくらいならまずまず性能が良いと言えるのか?

これは完全に個人的な見解ですが、北海道の基準(1地域の基準)が0.45となっているんですけども、これくらいの数値をこの地域で出していればまずまずといっていいのではないかなと考えています。

「そんな、北海道基準って、やりすぎやわ~、めちゃめちゃお金かかるんとちゃいます?」とアヤシイ大阪弁で突っ込んでみましたが、これ、性能的にはやりすぎでもないですし(ほんとは、もう少し欲しい)、費用もそんなにかからずに十分実現できます。

で、今、Nスタイルが建てている小さな家の性能がこれくらいなわけです。これが今回ブログで伝えておきたかったことで、今まさに断熱計算しているところなんですけども、UA値が0.42くらいの住まいです(まだ検算してないんで多少ずれるかもしれないですけども~)。

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北海道基準以上なんて、ものすごく高性能!と感じるかもしれませんね。でも、世の中にはもっともっとすごい性能の住まいをつくっている会社さんがたくさんあるので、これで完璧!というわけではないんですね。

そういったすごい会社さん達よりも自慢できるとしたら、私たちがつくる住まいはそのコストと性能、そして住まいとしての暮らしやすさや居心地の良さも含めたバランスがとても良い住まいであるというコトです。性能値が高くなればなるほど、建築コストは増えていきますから、どういうレベルの性能とするか、その「オトシドコロ」というのはいろんな要素を踏まえた上で考えないといけません。そんな判断をすることは多くの方にとっては難しいことですし、性能だけで住まいの善し悪しを判断するのもちょっと違いますから、このあたりのバランスを整えつつ、提案するにはかなりのスキルが求められます。

Nスタイルで提供する小さな家の方向性とか、基本性能というのはこれからの戸建て住宅のスタンダードといってもいいんじゃないか?・・・ちょっと妄想が過ぎる気もしますが、実は本気で思ってます。

最後に、UA値が一つの指標となる数値としてお伝えしましたが、この数値だけで判断すると落とし穴にはまることもあります。性能を生かす計画の仕方が大事で、この頃ではパッシブ設計というキーワードで語られていると思いますが、ちょっと長くなりすぎてしまいましたので今回はこのへんで!