マンションリノベーションの間取りで大事な4つのポイント

マンションリノベーションの一番の魅力は自分の暮らしに合わせて間取りを変えることですよね!でも元々の間取りが暮らしやすければわざわざ変える必要もないはず。

そう、実はマンションの間取りって暮らしにくいんです。

リノベーションをするからにはそういったマンションがもともと持っている暮らしにくさを解消しないと意味がありません。

ポイントとしては4つあるのですが、単純に収納とかリビングを大きくするといった考え方で間取りを考えてもうまくいきません。マンションの特性を踏まえた全体的なプランニングが大事なんです。

今回は「間取り」をキーワードに、マンションリノベーションをする上での基本的な考え方をお伝えします。

ちょっと長いので目次をつけておきます。

 

 なぜマンションの間取りは暮らしにくいのか?
  ・どうして築浅マンションでもリノベーションするの?
  ・原因は「個室+クローゼット型プラン」にある
  ・肝心のところが寒いわけ
  ・じつは使いにくい対面キッチン

 
 マンションの特性を踏まえた
 リノベーションの間取り4つのポイント
  ・ポイント1:個室は収納をなくして壁をつくる
  ・ポイント2:回遊動線の2つのメリット
  ・ポイント3:玄関を区画すれば寒くない
  ・ポイント4:開いた対面キッチンにする

 おわりに~リノベーションは体感が大事
  
   

なぜマンションの間取りは暮らしにくいのか?

どうして築浅マンションでもリノベーションするの?

マンションリノベーションの多くは築年数20年以上の物件が多いです。でも中には築10年程度の築浅マンションでもリノベーションする方がいらっしゃいます。築浅なのになぜリノベーションするんでしょう?

昔と今のマンションの間取りを比べてみるとその理由がわかります。下図は2018年築のある新築マンションの間取図。

2018年新築マンションの間取図

もちろん、いろんなパターンがありますし、多少なりとも工夫した物件もあると思いますが、今の一般的なマンションの間取りの特徴をよくあらわしていますね。で、下図が1995年築の中古マンションの間取り図。

1995年築の中古マンションの間取図

こうして比較すると、間取りの要素がほとんど変わっていないことがよくわかります。間取りが変わらないということはさぞかし暮らしやすいはず・・・と思いますよね?

でも実際にマンションに暮らしている方々に伺うと「収納が少ない」「キッチンが使いにくい」「結露でべたべたになる」「廊下が寒い」「リビングダイニングが意外と狭い」・・・といった不満が出てくるんです。

間取りが同じであれば不満も同じになるのは当たり前ですよね。なので新しいマンションでも間取りを変えたくなるのは不思議なことではないわけです。

ちなみにこれ、それぞれ違う建築会社が建てていますから、マンションの間取りって残念ながら、暮らしやすさについてはあまり検討されていないんだろうなぁ・・・と思います。

実はこうした不満はマンションの特性を考慮していないことに問題があるからなんです。

 

原因は「個室+クローゼット型プラン」にある

まず間取り図を見ると収納が少ないことがよくわかりますよね。個室にはクローゼット(又は押入)が付属してますが、その他には通路途中の小さな収納だけ。これでは収納が足りないのでどうしても室内は雑然となりがち。

こうなってしまう原因は「大きすぎる個室」に「収納を併設」しているからなんですね。

一戸建てと比べればマンションの床面積は基本的には小さめです。にもかかわらず個室の大きさは最低でも5畳以上(だいたい5~8畳くらいが多い)で計画することがほとんど。

また、当たり前のようにクローゼットも併設されますが、これが空間利用の効率をかなり悪くします。

そもそも壁一面にクローゼットがあるとそこにはベッドも机も配置できませんから空けておく必要があります。つまりクローゼットの前のスペースはかなり無駄なんです。

結果、床面積に占める個室の割合が大きくなりすぎてしまい、LDKやその他の収納スペースが圧迫されてしまうことになるんです。

マンションの個室にはほとんどクローゼットがついているが、この当たり前の計画が暮らしにくさにつながっている・・・

肝心のところが寒いわけ

「マンションってあったか~い」という感想はよく聞きます。確かに古い戸建てよりはかなり暖かいと思います。でもそれはLDKに限った話。

多くの場合、廊下とLDKを仕切っているドアを開けると、玄関からの冷気で床はヒンヤリ、洗面脱衣室も寒い空間になっています。入浴時に裸になる場所が寒い環境というのはお粗末ですよね。

これはLDKと廊下を区切っていることが問題なわけですが、でも廊下と区切らないとLDKが寒くなるという間取りの計画の仕方自体に問題があります(実は基本的な断熱性能が低いから寒くなるという面もあるんですが・・・)。

リビングと廊下を区画するドアを開けるとかなりの温度差が。暮らし始めてから気づく方が多いんです・・・。

また北側にある個室は分断された独立したスペースにもなっているので家の中では一番寒くなります。そういう空間で寝るのって実はかなり不健康で、体調を崩しやすくなったり、呼吸器系などへの負担が増大するのでより大きな健康リスクにもなります。

このような個室が分断された間取りは、家の中の空気の流れが悪いので、家全体を温める、涼しくすることもしにくい・・・。

そもそも家の中に大きな温度差があるのは、いい住まいとは言えないんですが、この認識って建築業者(リフォーム業者もですね)の中でもまだまだ認知されていないのが課題ですね・・・。

 

じつは使いにくい対面キッチン

ほとんどのマンションは間取り図のような対面キッチン型なのですが、多くの方がキッチンが使いにくいとおっしゃっています。

実際、ちょっと考えただけでも、キッチンまわりには冷蔵庫はもちろん、食器棚や食料品などの収納スペース、電子レンジなどの電化製品、そしてごみ箱を置く場所といったことが必要なはず。

でも一般的なマンションの対面キッチンでは、これらを配置するにはスペース的に無理がある・・・。仮に形だけ配置できたとしても収納量が少なかったり、使いにくくなったりします。

実際にはそんな風には使えないので、ダイニング側に食器棚が出てきたりしますし、キッチンの上やダイニングテーブルの上にもモノがでてきたりして雑然とした使い方になりがちなんですよね・・・。

ダイニング側に食器棚が出たりします

 

その他にも結露がひどい、玄関が狭いとかいろいろな不満があるのですが、一般的なマンションが暮らしにくい理由がご理解いただけたでしょうか?

せっかくリノベーションをするのであれば、そういった暮らしにくさを解消する計画になっていることは必須だと思います。

では具体的にどのような計画したらいいのでしょうか?ここからは具体的な実例を見ながらリノベーションの間取りのポイントを確認していきます。

 

マンションの特性を踏まえたリノベーションの間取り4つのポイント


下図は約70㎡のリノベーションのビフォーアフターの図(上:ビフォー 下:アフター)です。

ベージュ部分は収納スペース、グリーン部分は引き戸、青矢印は動線を示しています。

リノベーション前の間取り図。1995年築。キッチンを独立させて無理やり3LDKにした感がありますね。収納(黄色部分)がかなり少ない。

ベージュの部分が収納スペース。量も増えているが、必要な場所に「ばらけて」配置させることで使いやすくもなっている。

このリノベーションの実例プランには、これまでに挙げたマンションの暮らしにくさを改善するためのポイントが4つあります。

ポイント1:個室は収納をなくして壁をつくる

右上の大きな部屋は将来2部屋に区画することを視野に入れています。一つの部屋の大きさは内寸法で約2.2m角くらい。

片方の洋室がWCLOとつながっていますが、壁一面の収納ではなくて、出入口の引き戸としてつながってます。こうすることで、ベッドと机が配置できる「壁」ができるんですね。

「広くつくる」が出発点ではなくて、「壁をつくる」という視点があることで部屋が有効に使えるようになるんです。

2.2m角という大きさだけを考えると一見狭いように感じますが、動線的にも無駄がなく、空間を非常に有効に使うことができるようになるんです。

家具スペースも考慮してコンパクトに計画することが重要

個室が有効に使えると、全体的なスペースにも余裕ができ、その分収納やリビングダイニングのスペースを充実させることができます。

実際にビフォーアフター図を比べてみると収納は増えてますし、リビングダイニングも広々とした雰囲気になっているのがわかります。

個室をうまく計画すれば開放的なLDK空間も実現できる

ポイント2:回遊動線の2つのメリット

もう一つ大事なポイントがアフターの図面にある青い矢印の動線です。

通常は玄関からまっすぐリビングに進む動線しかありませんが、この住まいでは主動線以外にも左側ルート(脱衣-洗面-キッチン-ダイニング)と右側ルート(洋室-WCLO-タタミスペース-リビング)の2つのルートがあります。

回遊できるので、実際の大きさよりも家の中が広く感じられますし、非常に使いやすくなります。

意外と意識されていないもう一つのメリットが家の中の空気がぐるぐると循環しやすいということ。

空気の流れに行き止まりがないので、冷暖房した空気が家全体にまわりやすくなり、温度差が生じにくくなるんですね。

ちなみに緑色の建具部分はすべて引き戸としているので、開け放しにしておけばエアコン一台で家の中全体の冷暖房が可能となります。

玄関から見た様子。建具を開放すると家の中は一つの部屋のようになるので大きな温度差が生じなくなります。

ポイント3:玄関を区画すれば寒くない

回遊動線は廊下も寒くなりにくいですが、それだけではまだ弱くて、もう一つ大事なポイントがあります。

それは玄関部分を区画することです。これをしないと玄関ドアからの冷気が伝わってくるので、回遊動線にしたとしても、快適な暖かさにはなりません。

この視点がないリノベーション事例も多いのですが、暑さ寒さという図面では実感しにくい点を考えて計画することは快適さに直結する重要なポイントです。

今回のリノベーション事例とは違いますが、玄関を区画する建具のイメージを参考までに。

玄関とつながっている状態。冬にこの状態だとかなり寒くなります。

玄関と区画されると廊下の寒さもあまり感じません。

 

ポイント4:開いた対面キッチンにする

使いにくいのに対面キッチンが多いのは、キッチンからリビングが見えるようにしたい、という要望があるからだと思います。

私たちのリノベーションではキッチンの向きを長手方向に平行に配置します。こういう配置でもリビングダイニングの様子は良く見えます。

しかも反対側は洗面-脱衣へと抜ける動線があるので非常に使いやすい。視線が開けて動線も2つあるこのような対面キッチンを私たちは「開いた対面キッチン」と呼んでいます。

このキッチン配置でもリビングダイニングの様子はだいたいわかるし開放感もある

キッチンから洗面への動線も便利

背面スペースはかなり余裕をもって計画できるので、キッチンに関するスペースが足らなくなるということがなくなります。

キッチンは人によって見せ方、使い方に幅があるので事例の一つではあるのですが、2方向からの動線は確保しておきたいところですね。

おわりに~リノベーションは体感が大事

以上がマンションの特性を考えたプランニングのポイントです。

いろいろとお伝えしたように、マンションリノベーションって広さの感覚が通常とは違います。

でも体感すると思っているよりも狭さを感じることはなかったりします。

実際、見学会でリノベーションのプラン図を見ながら実際の空間を体感してもらうと「図面からこういう空間になるのは想像できないですね」という感想が多いんですね。

なのでマンションリノベーションの魅力と可能性を知るにはやはり実際の住まいを見学することが一番わかりやすいと思います。

直近では1/11(土)12(日)に開催する「暖炉があるマンションリノベーション完成見学会」があります。

マンションリノベーションの魅力がたっぷりと詰まったこの住まいを是非体感して欲しいです。

いきなり見学会に参加するのはちょっと・・・という方は「リノベーションの基本がわかるガイドブック」もありますよ~。