中古マンションリノベーションよりも分譲住宅がいい?

中古マンションリノベーションと分譲住宅を比べるとはたしてどちらがいいのか?

分譲住宅の場合、現物を見て購入できるわけですから、実物をみて快適に暮らせそうだ、と判断できるのであればそれも選択肢の一つですね。

ただ分譲住宅の場合、その住まいにはどんな性能があるのか?が少々気になります。耐震性と断熱性の二つに関してなんですが、正直な所、ほとんどの分譲住宅ではそういう性能面についてはあまり重視されていないと思いますが、性能について深く掘り下げると話が脱線し過ぎるのでここでは止めておきましょう。

単純に分譲住宅は暮らしやすいのかどうか?その「間取り」に関してチェックしてみたいと思います。

もし近くに分譲住宅の平面図が載っている広告があればそれを、なければネットで用意してください。はじめのチェックポイントは収納です。

たぶん1階には階段下収納か、あっても小さな収納が一つくらいしかないと思います。

LDKがある1階に収納があまりに少ないと片付ける場所がないので、どうしてもモノが散らかりやすくなります。

2階に大きな納戸があったとしても、いちいち2階に行って片づける生活の仕方は非常に不便です。

となると整理タンスとかカラーボックスを置くようなことになりますが、それだけでは足りなくなるでしょうし、そもそもLDKにそういうものを置いてしまうと、どうも雑然としてしまいます。

うまくコーディネートできるし、モノもそんなにないから大丈夫、ということならいいのですが、少なくとも今持っているモノと今後増えていくであろうモノ(家族が増えるとかで)のことまで考えて、それらが暮らしやすく収納できるようになっているか?そこをしっかりとチェックすることが大事です。

仕事柄、分譲住宅の広告があればよく見るのですが、多くの分譲住宅ではLDKの近くに収納がほとんどない事例ばかりです。

もう一つのチェックポイントとしては洗面脱衣室の位置です。たぶん、LDKから洗面脱衣室に行く際にはドアを開けて廊下にでて、それから洗面脱衣室に入るようになっていると思います。

ほぼすべての分譲住宅の断熱性能は非常にチープですから、そういう住まいでこういう間取りだと、冬は廊下に出ると非常に寒くて、洗面脱衣室も同じように寒くなります。

廊下を介さずに洗面脱衣室に入ることができる場合は比較的そういう寒さを軽減することができますが、それでも基本性能が低いので、洗面脱衣室のドアが閉じられていれば寒いでしょう。

基本的にはこの2点についてだけ絞って見るだけで、暮らしやすいかどうかが見えてきます。

分譲住宅というのは基本的に、いい住まいをつくる、というスタンスというよりも、「売れる価格」があって、その中で3LDK、4LDKという「間取りを満たしていればいい」というつくり方だと思います。

分譲住宅は「プラン」ではなくて「間取り」なんですね。使いやすさ、暮らしやすさを考慮して、全体計画を考える(=プラン)のではなく、一般的に必要と思われる「部屋要素」を「取る」だけ、つまり「間」を「取る」だけ=「間取り」の住まいなんです。

暮らしのことを考えたら、ここで挙げたような不便さ、不快さが生じない住まいを計画する必要があるんですが、残念ながら多くの分譲住宅がこのような住まいになっています。

ごくまれには工夫してある分譲住宅も見かけます。そういう分譲住宅の「プラン」は設計に携わる人が、厳しい諸条件の中でもできるだけ暮らしやすい住まいを考えたんだろうな、と思います。

モノの多い少ないは人により差があると思いますが、分譲住宅に限らず、住まいをつくる、という行為は「モノとの付き合い方を考える」という点が重要なポイントになってきます。

そこを踏まえた上で、その分譲住宅がよい住まいであると判断できれば、少なくとも不満も出にくいと思います。

そこの検討がないままに選んでしまうと不満ばかりの住まいになってしまうかもしれませんね。

最後にもう一つ住まいの快適性に関連することを。下の写真はフリー写真から得た住まいの外観です。

この住まい、夏はとても暑い住まいになります。勘がいい方はわかると思いますが、1階の窓には庇も何もないので、夏の直射日光が直接室内に入ってくるからです。

もしもいろんな事情で分譲住宅を購入するのであれば、このような夏の日射が直接入ってしまう住まいは、夏暑い、ということは覚悟しておいた方がいいでしょう。こういう基本的なことも意外と理解されていないことが多いんですね。

これらのことを踏まえると、中古マンションリノベーションの場合は、元の間取りから暮らしやすいプランへと変えることができますし、低い性能を高めて快適な環境へと変えることもできるので、分譲住宅よりもおススメです!という答えになります。